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デュシェンヌ型筋ジストロフィー 初の根本治療薬が承認

デュシェンヌ型筋ジストロフィー 初の根本治療薬が承認

 

日本新薬株式会社はデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬ビルテプソ点滴静注250㎎(一般名:ビルトラルセン、開発記号:NS-065/NCNP-01)について厚生労働省より製造販売承認を取得したことを発表しました。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは筋肉細胞を支えるジストロフィンタンパク質の遺伝子変異により、正常なジストロフィンタンパク質が産生されず筋力が低下する進行性の遺伝性筋疾患です。
本剤は、国産初のモルフォリノ型のアンチセンス核酸であり、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の筋肉中にある変異したジストロフィン遺伝子のエクソン 53 をスキップさせ、 正常なジストロフィンタンパク質の産生を促すことにより治療効果を示します。
これまでデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療はステロイド剤投与等による対症療法が行われてきました。発症原因であるジストロフィンタンパク質の産生を促す薬はビルテプソが初めてとなります。

参考: 日本新薬、ビルテプソ®点滴静注 250mg の国内製造販売承認を取得(2020/3/25 日本新薬)
https://www.nippon-shinyaku.co.jp/file/download.php?file_id=2958

 

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの初の根本治療薬として核酸医薬品が承認されたとのことです。核酸医薬品とは、核酸(DNAやRNA)の構成成分であるヌクレオチドおよびその誘導体を基本骨格とする医薬品です。低分子医薬品、抗体医薬品に続く第3の医薬品と言われており、従来の医薬品では治療が難しかった疾患を根治できる可能性があるとして、現在研究が進められています。
核酸医薬品はまだ新しい分野で、実用化例が少ないのですが、加齢黄斑変性症の治療薬や脊髄性筋萎縮症の治療薬もすでに承認されており、治療に用いられています。
デュシェンヌ型は筋ジストロフィーの中で最も多く、男児の約4千~5千人に1人の割合で発症するといいます。10歳までに歩行困難となり、呼吸機能や心機能が低下した後、30代で死亡することが多い難病です。
筋ジストロフィーは今まで根本的な治療法がありませんでしたが、今回承認されたビルテプソは初の根本治療薬であり、本剤で多くの人が救われるかもしれません。
今回のビルテプソの承認は全症例について安全性や有効性を調査するという条件付きの承認となっています。今後の調査報告にも注目していきたいですね。

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