禁煙治療のためのスマートフォン用アプリ「キュアアップSCニコチン依存症 治療アプリおよびCOチェッカー」を医療機器として製造販売することを厚生労働省の部会が了承し、近く承認される見通しとなりました。アプリが医療機器として承認されるのは国内で初めてとのことです。
このアプリはベンチャー企業キュア・アップと慶応大医学部が開発したもので、禁煙外来で医師の診察を受けて患者に処方される見通しです。紙巻きたばこを吸っている人が対象で、禁煙補助薬バレニクリン(商品名:チャンピックス)と併用します。
アプリをダウンロード後、医師が発行した「処方コード」を患者が入力してログインし、利用します。1日1回、COチェッカーで呼気中の一酸化炭素濃度を測定。喫煙したい衝動に駆られた際、例えば「たばこを吸いたい」などと入力すると、「ガムをかみましょう」といった助言が表示され、患者の行動変容を促すとのことです。
約570人を対象とした臨床試験では、アプリを使ったグループは、使わなかったグループより半年後に禁煙を継続できた割合が、13ポイント以上高かったとのことです。
参考: アプリ、医療機器として初承認へ 禁煙治療で医師が処方(YAHOOニュース2020/6/19)
https://news.yahoo.co.jp/articles/69ced3b7b66138578b1a9c405634070b2c6597f4
アプリが医療機器として処方されるようになるとは驚きですね。アプリというソフトウェアが治療法の一つになるとのことなので、医療業界にとって大きなインパクトとなりそうです。
医療機関や薬局でパスコードと呼気中の一酸化炭素濃度を計測するIoTデバイスを受け取って使用するとのことで、アプリに日々の状態を入力すると、それに応じたアドバイスをしてくれるそうです。薬局でパスコードやデバイスを受け取るとのことなので、薬剤師が操作方法等の説明をする場面が出てくるかもしれませんね。
たばこが吸いたくなってしまったとき、このような形で頼れるものがあるのとないのでは、成功結果に差が出るのもうなずけます。
キュア・アップは高血圧治療アプリなど他の治療用アプリの開発にも取り組んでいるとのことです。治療用アプリ分野の今後の展開に注目していきたいと思います。
参考: 治療用アプリを日本で初めて申請したキュア・アップ(日経ビジネス)
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/070500510/
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