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うつ病発症にヒトヘルペスウイルス6の活性化が関係か 東京慈恵会医大が確認

うつ病発症にヒトヘルペスウイルス6の活性化が関係か 東京慈恵会医大が確認

 

東京慈恵会医大の研究チームがヒトヘルペスウイルス(HHV)6が活性化することで作られる「SITH(シス)1(ワン)」というたんぱく質がうつ病発症リスクを大幅に高めることを突き止めました。
HHV‐6は体内に潜伏し、疲労時に活性化し唾液中に出てきます。鼻腔を通して脳の一部である嗅球に到達し、嗅球の細胞死を引き起こします。この嗅球の細胞死によって、記憶をつかさどる海馬での神経再生が抑制されることも確認されました。
SITH-1があることの証明になる抗体を測定することで、SITH-1 はヒトを 12.2 倍うつ病になりやすくさせ、79.8% のうつ病患者が影響を受けているということが分かりました。
これらの結果から、研究チームは、過労やストレスからうつ病が発症する経緯を
1) 過労などでHHV6が唾液に出る
2) 嗅球に再感染し、SITH1を作る
3) SITH1によって嗅球や海馬などで脳細胞の状態が激変する
4) 意欲減退などが起きる
という流れではないかと推論しています。

参考:
うつ病の「引き金」物質を確認 疲労やストレスで増加(Yahooニュース2020/6/15)
https://news.yahoo.co.jp/articles/82ad6000d953fe70c3cee162ef60e33ceb9cb8e3

うつ病の原因遺伝子の発見(東京慈恵会医科大学・ウイルス学講座)
http://jikeivirus.jp/wp-content/uploads/2020/06/2b5442c6724af0b997f15463558a52c9.pdf

 

HHV-6の感染により起こる突発性発疹は乳幼児の代表的な病気で、初めて熱が出たと思ったら突発性発疹だったということが多くあります。突発性発疹は高熱が出た後、発疹が表れますが、解熱後に機嫌が悪くなることが多く、「解熱後の対応が大変」とよく耳にします。
この突発性発疹による不機嫌もこのSITH-1が関係しているのでしょうか?子供なりのうつ症状の表れ方なのかもしれませんね。
うつ病は過労やストレスが原因と言われてはいましたが、今回はっきりと原因物質がわかったことで、改めて過労やストレスが人をうつ病にしてしまう可能性があるのだと明らかになりました。疲労やストレスをため込まないことが、心の健康を保つには重要と言えそうです。
今回の発見が治療薬へ応用される日がくるかもしれません。今後の報告にも注目していきたいと思います。

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