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効果が期待できる薬の発見わずか1割 「がんゲノム医療」

効果が期待できる薬の発見わずか1割 「がんゲノム医療」

 

標準的な治療では効果が見込めなくなった患者などを対象に、がん患者の遺伝子を解析して最適な治療薬を選んで投薬を行う「がんゲノム医療」。
今年の6月以降に遺伝子検査を受けた患者のうち、効果が期待できる薬が見つかったのは、全体の1割にとどまっていることが分かりました。

厚生労働省が、がんゲノム医療を手がける病院を対象に、遺伝子検査の実績を調査したところ、全国134の病院から回答が得られました。その結果、今年の10月までの5ヵ月間に医療保険(今年6月から保険適用)を使って遺伝子検査を受けた患者は805人であり、このうち効果が期待できる薬が見つかったのは88人と、全体の10.9%にとどまっていました。
原因としては、がんの原因となる遺伝子が見つかっても、それに対応する薬が開発されていないケースが多いことがあげられています。 さらに、スタッフ不足などの理由で遺伝子検査を始められていない病院が51ヵ所あることが分かり、がんゲノム医療の体制整備が十分でないという課題も浮き彫りとなりました。

参考:がんゲノム医療」効果が期待できる薬の発見 1割にとどまる(2019年12月8日 NHK NEWS WEB)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191208/k10012206391000.html

 

がんゲノム医療は、100種類以上のがんの遺伝子を一度に調べる「がん遺伝子パネル検査」でがんの原因となる遺伝子の変異を見つけ、それに基づいて行う治療です。これまでのがん治療は臓器ごとに治療を進めていく方法でしたが、がんゲノム医療が始まったことにより、遺伝子という観点からも治療を進めていくことができるようになりました。
今年の6月から保険適用となったため、がんゲノム医療を希望する患者の増加が今後も予想されますが、実際に治療に応用できるケースは1割とのことで、これからがんゲノム医療を受ける方にも、実際に治療ができたのは1割ほどだと説明をする必要がありそうです。
そうは言ってもまだがんゲノム医療は始まったばかり。
これから大きく発展していく治療法に間違いありません。これからの体制整備や遺伝子変異をターゲットとする薬の開発が進み、治療に移れる方が増えていくといいですね。

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