豪州モナッシュ大学とピーター・ドハーティー感染免疫研究所のチームは、既存の寄生虫治療薬「イベルメクチン」(商品名:ストロメクトール)を1回投与した結果、試験管内の新型コロナウイルスの増殖が抑制されたと医学誌『Antiviral Research(アンチヴァイラル・リサーチ)』で発表しました。
アフリカミドリザルのベロ細胞という腎臓由来の細胞を、新型コロナウイルスに2時間さらして感染させた後、さまざまな濃度のイベルメクチンを投与した結果、1回の投与で48時間以内にウイルスのRNAが99.98%減少したとのことです。
今回の実験は試験管内で行われたものであり、ヒトに対する臨床試験を取り急ぎ行いたいとしています。
「イベルメクチン」は2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授が開発した抗寄生虫薬で、「ストロメクトール」の商品名で販売されています。
参考: 新型コロナ「1回投与で48時間でウイルス99%減少」豪研究(ハザードラボ2020/4/6)
https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/3/3/33706.html
駆虫薬であるストロメクトールが新型コロナウイルスに効く可能性があるとは驚きですね。
ストロメクトールは薬剤師でもそんなに馴染みのある方は多くはないお薬だと思いますが、疥癬(ヒゼンダニが皮膚に寄生することにより起きる)の治療に用いられるため、皮膚科から処方が出ることが多いお薬です。といっても疥癬の患者さん自体多くないので、備蓄している薬局はかなり少数なのではないかと思います。
私が勤めている薬局では、先日ストロメクトールを発注したところ、欠品しており、取り寄せすることができませんでした。この研究結果が発表されてから注文が急増しているとのことです。品薄になる前に備蓄しようと発注するケースが増えたのかもしれません。
疥癬で使用したい方がいた場合も、しばらくは手に入らない状態が続くかもしれないので注意が必要です。
これからヒトに対する臨床試験を行なっていくとのことで、今後の報道にも注目していきたいですね。
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