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攻撃力が高い女性薬剤師が転職してきた ~人間関係お悩み相談 #01~

攻撃力が高い女性薬剤師が転職してきた ~人間関係お悩み相談 #01~

薬剤師が働く現場には、ドラマがいっぱい! 女性が多い小さな薬局で働く薬局薬剤師Yさんのお悩みに、産業医・精神科医の井上智介先生にお答えいただきました。

 

薬剤師 Yさん(30代前半女性)からの相談

私は薬剤師2人の小さな薬局で働いています。半年ほど前に、お世話になっていたもう1人の女性の薬剤師が定年退職をしました。

代わりに採用されたのは、私より1つ年上の女性薬剤師です。

最初は人柄も良さそうで、仲良くやっていけそうだと思っていたのですが、1カ月ほど経った頃から、彼女の言動にストレスを感じるようになりました。

たとえば、私が残って薬歴を記入していると
「Yさんは、のんびり仕事ができていいわね。私が今まで働いてた薬局では、薬歴のために残業する人って、仕事が出来ない人扱いだったから。」と言われたり、

私が患者さんからの質問に、製薬情報を確認してから回答していると、
「このくらいの質問にも即答できないの? 私と経験年数そんなに変わらないのにね。」と言われたりしています。

また、私のささいなミスに対しても、「どうしてこんな簡単なことも出来ないの?」「今までよく薬剤師やってこれたね」など言ってきます。薬歴に関しても「なんでそんなに時間かかってるの? パソコンちゃんと使えてる?」と、だんだんエスカレートしてきました。何を言われるのか怖くなって、もっとミスや指摘されることが増えるようになってしまいました。

最近は、調剤事務さんにも、「Yさんは仕事が出来ない」「あんな能力が無い人と一緒に仕事していて、今まで困らなかった?」といったことを言われ、アットホームだった職場の雰囲気が変わってしまいました。狭い薬局で毎日繰り返されるので、逃げ場がなく本当に辛いです。

顔馴染みの患者さんも多く、思い入れのある職場なので、できれば退職はしたくないのですが、彼女と上手くやっていく自信もありません。どうしたらよいでしょうか?

 

はじめまして。質問ありがとうございます。
今回は新しく来られた、1つ年上の女性薬剤師さんをAさんとしましょうか。このAさんがかなりのクセモノな印象ですね。
今までアットホームな職場環境であったのに、ある人が来てから、環境がガラっと変わってしまうことってありますよね。しかも、その矛先が自分に向くなんて、かなりしんどいですね。
まずこのような時に、最初にこれだけは絶対にやってはいけないことがあります。それは、Aさんに心変わりしてもらおうと期待することです。

残念ながら、Aさんの性格などを変えるのは非常に難しいです。あなたと2人しかいない環境であれば、おそらくいくら時間とエネルギーを費やしても無理でしょう。そのため、Aさんに心変わりしてもらうように期待することは無意味ですし、あなたのその努力は、徒労に終わることが目に見えているので、絶対に取り組んではいけません。
 
そうなると、あなた自身が考え方を変える必要があります。その方法は、次の3通りあります。決して、どれか1つを選ばなければならない訳ではありません。途中で別の方法に方向転換してもいいですし、3つの方法を混ぜても構いません。あなたが取り組みやすい方法を試してみて下さい。

1つ目としては、Aさんを厳しい上司だと捉えて、よいところを盗むスタンスです。キャリアは同じくらいで、厳しいことを口にすることも多々あるようですが、Aさんがテキパキと仕事をこなしている部分もあるのでしょう。その背景には、おそらくAさんも過去に必死に努力をしている部分もあるはずです。あなたとは、息が合わない人だとは思いますが、そのAさんの努力を素直に認めつつ、自分にプラスになるところは取り入れてみましょう。厳しいことを言われるのは、自分にとってプラスにならない部分なので、思い切って適当に聞き流すスタンスです。

2つ目の方法としては、Aさんに対して、存在自体を上から目線で受け流すことです。Aさんのような人は、あなたをはじめとして誰かを攻撃していないと、自分自身を保つことができない人なのです。このように、誰かがいないと自分の存在を確認できない、自分という存在が、とてもグラグラな残念な人なのです。その点で、あなたは「可哀そうな人だなぁ」くらいの気持ちで、Aさんに接してみましょう。

もちろん、そのような人が言うことなんて、まともに受け止める必要もなく、ゲーム感覚で付き合うくらいが気楽です。とはいえ、あなたが正論をぶつけても、顔を真っ赤にして反論してくるでしょう。こちらも無駄にエネルギーを消費しないためにも、決しておすすめできる接し方ではありません。それよりは逆転の発想で、『どこまで違和感を持たれずに、過剰にへりくだることが出来るかのゲーム感覚の付き合い』を、おすすめします。

具体的には、何か嫌なことを言われた時、『ご指導ありがとうございます』からはじまり、『ご指導を申し受けさせていただきます』など、普段の関係なら使わないような過剰な敬語を使ってみましょう。

実は、このメリットは、自然と心理的な距離をとれることにあります。敬語と言うのは、社会人のマナーとしての一面もありますが、それだけ相手との心の距離をとる事にもなります。
 
3つ目の方法としては、逃げることです。思い入れのある職場なので、できたら退職したくないとのことですが、恐らく頭では『このままではまずい…』と思っているのではないでしょうか。そして、あなたは、この状況が続くと、精神的にボロボロになる可能性もうっすら理解されているのではないでしょうか。

とは言っても、今日明日で退職する訳にもいかないのは、よく分かります。ただ、今は『この状態がいつまで続く状態なのだろう…』と分からなくなっているから、余計に不安や心配が膨れ上がります。そのため、例えば『半年以内に、店舗の異動がないならば、やめる!』など、自分が頑張れる期間を決めてしまいましょう。

もしかしたら、あなたは『辛いことから逃げたらダメ!』・『石の上にも3年!』と我慢する教育を受けてきたかもしれません。しかし、それは【健康であること】が大前提です。健康を犠牲にしてまで行う仕事は、この世の中に1つもありません。あなたが輝ける場所は、決して今の職場だけではありません。

 

POINT

 

1.よいところを盗むスタンスで!
   ~厳しいことを言われたら、思い切って適当に受け流しましょう

 

2.存在自体を上から目線で受け流す
   ~「可哀そうな人だなぁ」くらいの気持ちで接してみましょう

 

3.逃げる
   ~自分が頑張れる期間を決めてしまいましょう

 

 

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