重度障害者の医療費を自治体が助成する制度で、チェーン薬局大手ウエルシア薬局の静岡県と長野県内にある店舗において手続きミスがあったため、約200人に助成金が支払われていなかったことが分かりました。
重度障害者の医療費の助成方法は自治体によって異なり、病院や薬局の窓口で受給者証を示せば患者が支払う必要がない「現物給付」の場合と、窓口で支払った後に自治体から助成される「償還払い」などがあります。今回漏れが発生してしまったのは償還払いのケースでした。
患者側が窓口で受給者証を提示していたにもかかわらず、店舗で手続きミスがあり、自治体にその情報が伝わっておらず、後日自治体から患者側に行われるはずの償還払いが実施されていなかったとのことです。
自治体への報告書では、2009~2018年、静岡県内で274人に対し1168件のシステム入力ミスがあり、助成金の未受給の可能性があるとしており、その後の調査では未払いは静岡県内で203人、長野県で1人としています。
参考: 障害者204人に助成金を未払い ウエルシア薬局がミス(朝日新聞 2020/1/23)
https://www.asahi.com/articles/ASN1Q7F6JN1QUTIL01W.html
医療費の助成制度はいろいろなものがあり、さらに制度が変わって変更になることもあるので、公費番号をお持ちの患者さんの手続きは慎重に行う必要がありますね。
今回は患者さんの親族が未払いに気づいたことで払い戻しの漏れが判明しましたが、公費制度が複雑なため患者さん自身が理解できていないことも多く、その場合に医療機関で漏れが発生してしまうと、本来公費であるはずのお金が戻ってこないという事態が発生してしまいます。
薬剤師は間違いなく薬を渡すことに意識が集中しがちですが、公費番号をお持ちの患者さんに対しては助成金の支払い方法などについても注意を向けていくことが必要といえそうです。
助成金の支払い方法が現物給付である場合は薬局での請求額を変える必要があり、一方償還払いの場合は薬局から自治体に患者様の情報をお伝えしなくてはならないため、この点についても自身の勤め先の自治体の制度を今一度確認しておくと良いでしょう。