肺がん患者の血液を採取し、治療薬「オプジーボ」が効くかどうか調べることに、京都大の本庶佑特別教授らのチームが成功したことが、米科学誌に掲載されました。
オプジーボは免疫の力を利用してがん細胞を攻撃する治療薬ですが、薬は半数以上の患者では効きにくく、理由がわかっていませんでした。
研究チームは、肺がん患者54人からオプジーボの投与前後の血液を採取し、薬が効いた人と効かなかった人で、血中の細胞の状態や代謝物質の量がどう違うか調べた結果、『免疫反応の司令塔タイプのT細胞の割合が投与後に高くなったかどうか』など4項目を調べることで、薬の効きやすさを判断できることがわかったとのことです。
この方法を使えばこれまで効くかわかるまで3カ月かかっていたのが、2週間で判断できるため、薬が効かない場合には早く別の治療を提案でき、高額なオプシーボの医療費の削減が期待されます。
参考: がん治療薬の効きやすさ、血液で予測 京大チームが成功(朝日新聞 2020/1/30)
https://www.asahi.com/articles/ASN1Z566LN1TPLBJ00C.html
近年オプシーボのような高額な薬の実用化が相次いでおり、医療費を圧迫していることが問題視されています。今回のように薬の効きやすさを調べることができれば、医療費を大幅に削減することができそうですね。
さらに医療費削減だけではなく、患者さんの精神的な負担や身体的な負担も大幅に減らすことができるため、メリットは大きいと言えます。
現在オプジーボや同様の機能を持つ治療薬キイトルーダの肺以外のがんでの効きやすさの目印を探す研究が始まっているそうです。他の高額治療薬でも今回のような薬の効きやすさを示す目印を探す研究が進むと良いなと思います。
今後の報道にも注目していきたいですね。