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スマホアプリが薬に。依存症の行動療法や、うつ病などに効果

スマホアプリが薬に。依存症の行動療法や、うつ病などに効果

スマートフォン用アプリなどのデジタルデバイスを利用した薬に注目が集まっています。

従来の通院ではケアできなかった生活上での行動療法に効果があり、既存の薬では治療が難しかった「心」や「考え」、「行動」への治療効果に期待がかかっています。

海外では既にデジタル療法が医療機器として承認されており、全世界で487件のモバイルアプリケーション、271件のビデオゲームのの臨床試験が行われています。

米ピア・セラピューティクスは、アルコール中毒などを治療するアプリ「reSET(リセット)」でFDAの承認を取得。医療用麻酔オピオイド中毒の治療用アプリ開発も進めています。


日本では、医療系ベンチャーの株式会社CureAppが、2020年にもニコチン依存症を治療するスマホアプリ「CureApp禁煙(ニコチン依存症治療)」を発売予定です。

行動療法のノウハウをAIとしてアプリに組み込み、心理的依存に対して作用。患者が入力した、タバコを吸いたい気持ちの強度などの情報を元に、励ましや助言を表示します。

慶應義塾大学呼吸器内科教室との共同開発を進め、2018年12⽉に国内第Ⅲ相臨床試験が完了。患者用のスマートフォンアプリケーションと、ポータブルCOチェッカー、医師用のWEBアプリケーションを用い、有効性を確認しました。ニコチン依存治療用のアプリとして治験を完了したのは、日本初。2020年春の保険適用を目指し、販売承認を申請しています。

大手製薬会社も、デジタル薬の開発に参入しています。塩野義製薬は、米アキリ・インタラクティブ・ラブズが開発した小児ADHD(注意欠陥多動性障害)を治療するゲームアプリ「AKL-T01」の治験を日本で始める予定。大塚製薬は、うつ病を治すアプリ「CT-152」の治験を、米クリックセラピューティクスと共同で米国で進めます。

アプリなどの薬は、体内に取り込まないため副作用が起きにくく、子どもや妊婦向けの治療にも使用しやすいメリットがあります。デジタル技術を用いた創薬は、従来の薬と比べて開発費も安く、今後も増えていくことが予想されます。

製薬企業でなくとも、スタートアップ企業やIT企業の参入が可能な分野であり、世界的に競争が激しくなりそうです。

薬剤師がスマホアプリの服薬指導をする日も近いかもしれません。


編集者:K

参考:
心の病 に「デジタル薬」 アプリが禁煙や認知症治療(2019/10/8 日経新聞)
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO5058448004102019TL1000

ビデオゲームやアプリで治療効果‐患者中心医療のコンセプトを具現化(2019/10/7 薬事日報)
https://www.yakuji.co.jp/entry74847.html

<日本初の「アプリの治験」結果を米国胸部学会議2019 で公表>国内第Ⅲ相臨床試験で禁煙外来におけるニコチン依存症治療用アプリの有効性を確認(2019/5/30 PR TIMES )
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000015777.html

デジタル治療処方アプリの開発・商業化におけるグローバルライセンス契約を締結
– 大うつ病に対する世界初のデジタル治療処方アプリとして承認を目指す -(2019/01/04 大塚製薬)
https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2019/20190104_1.html

 

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