厚生労働省は、医師が処方する軽症向けの市販類似薬の存在する処方薬について、患者負担の引き上げを検討しています。市販薬があるのに病院で処方される薬は年5千億円超あり、ここに切り込めば医療費を大きく削減することができます。
具体的な案としては、定率の1~3割負担に一定額を上乗せする案が浮上しており、1回500円の「定額負担」を上乗せした場合、国費で年1000億円の削減につながると試算しています。このほか、患者の自己負担率を現状から引き上げる案もでています。 今回、検討対象にするのは、一部の湿布やビタミン剤、漢方薬、皮膚保湿剤などで、 今秋以降に社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会などで議論し、21年の通常国会で関連法の改正案の提出をめざしています。
参考:医師処方の市販類似薬、患者負担上げ 厚労省が検討(日本経済新聞 2019/8/21)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48787110Q9A820C1MM8000/
昨今、重症度の高い疾患を治療する高額薬が多く開発され、使用を望む人も多いため、保険財政の対策は急務といえます。市販品で代用できる処方薬に対して500円の定額負担を上乗せすると年間で1000億円の削減につながるとは驚きですね。これを重症度の高い疾患の治療薬に補填できれば、多くの人を救うことにつながります。
現在は処方薬と比較して市販薬の価格が高すぎるため、市販薬を買いに来る患者さんは多いとは言えません。しかしこの法案が実現した場合、「500円上乗せされるなら受診せずに市販薬を買う」という人も出てくると予想され、その場合は薬局・ドラッグストアの顧客の増加が期待されます。今後の動きに注目していきたいですね。