株式会社医療情報総合研究所は、独自に運用する「JMIRI処方情報データベース」のデータを基に、新型コロナウイルスの流行が3月の処方箋発行枚数に与えた影響を調査・分析しました。
3月の処方箋の発行枚数は前年同期比で10%減少していました。特に大きく減少したのが、耳鼻咽喉科(前年同期比64%)、小児科(前年同期比70%)でした。一方透析科など代替手段のない診療科では処方箋発行枚数の減少はありませんでした。
地域別に見てみると、新型コロナウイルス感染症の多い関東地方では、処方箋発行枚数の減少が前年同期比13%減と他の地域に比べて顕著でした。
一回当たりの処方日数については、前年同月比で10%を超える処方日数の増加がみられました。厚生労働省が2月28日に通達した「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」※の影響と思われます。この傾向は医療機関の規模や地域によらず、全般的に見られたとのことです。
※慢性疾患等について、長期投与によって、なるべく受診間隔を空けるように 努めることが原則であると記載があります。
https://www.mhlw.go.jp/content/000602426.pdf
参考: 新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月の処方箋枚数が大幅減! 処方日数は増加傾向に(産経新聞2020/4/14)
https://www.sankei.com/economy/news/200414/prl2004140235-n1.html
処方箋の発行枚数にも新型コロナウイルスの影響が表れてきましたね。筆者の勤めている調剤薬局では、3月中は外出自粛の呼びかけ前後など、薬を駆け込みでもらう人で混み合う日もあったり、逆に来局があまりない日もあったりと、混む日と混まない日の差が顕著でした。
また最近では、処方箋受付枚数は減っているものの、オンライン診療の影響により、電車での通院が必要な遠方の病院の処方箋を受け付けることが多く、在庫のない薬の手配や新規の患者さんの情報入力作業に追われ、忙しく感じることが多かったです。
今後電話やオンラインで服薬指導を受け、薬も郵送してほしいという患者さんが増えることが予想されるため、処方箋枚数は減っていても業務量はさほど変わらないということが起こるかもしれません。調剤薬局業界にとっては、厳しい状況が続きそうですね。
新型コロナウイルスの流行が収まり、みなさんが安心して病院や薬局を訪れることができる環境に早く戻ることを切に願います。
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