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新型コロナの治療薬候補の抗マラリア薬 致死率上昇報告と副作用警告あり

新型コロナの治療薬候補の抗マラリア薬 致死率上昇報告と副作用警告あり

 

コロンビア退役軍人医療システムとサウスカロライナ大学、バージニア大学の共同チームは、新型コロナウイルス感染症に関して、抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」を投与したグループは、投与しなかったグループよりかえって高い致死率を示し、人工呼吸器が必要となる割合に変化はみられなかったと報告しました。

さらに米食品医薬品局(FDA)は抗マラリア薬に関して心臓に深刻な副作用を引き起こすリスクがあると警告し、医者の監督下で慎重に使うよう呼びかけています。

一方スイスでは抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンを、新型コロナウイルス感染患者の濃厚接触者に投与し、予防効果を検証する臨床試験を始めたと報告しました。

抗マラリア薬は中国やフランスなどで新型コロナウイルスに感染した患者に投与したところ改善したとの報告があり、米国では多くの臨床試験が行われていますが、効果があるかどうかはまだ実証されていません。

参考:
新型コロナ患者への抗マラリア薬投与、「致死率高く効果なし」の研究報告(CNN2020/4/22)
https://www.cnn.co.jp/fringe/35152762.html
トランプ氏推奨の抗マラリア薬、米当局が副作用警告(日本経済新聞2020/4/25)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58503690V20C20A4000000/
抗マラリア薬、感染予防に効果?スイスの病院が臨床試験を開始(SWI swissinfo.ch 2020/4/24)
https://www.swissinfo.ch/jpn/新型コロナウイルス感染症_抗マラリア薬-スイスの病院が臨床試験/45713902

 

マラリアの薬は日本ではあまり使われないので、薬剤師でも馴染みのある人は少ないと思いますが、「プラケニル」(商品名)と聞くとピンとくる方も多いのではないでしょうか?もともとマラリアの薬として開発されましたが、皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデスの治療にも用いられています。むしろ日本では効能効果は皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデスのみとなっています。
そんな抗マラリア薬ですが、ネガティブなニュースが飛び込んできました。新型コロナウイルス感染症において、投与したグループでかえって致死率が上がってしまったとのことですが、米食品医薬品局が警告した心臓の副作用の影響なのでしょうか?
一方スイスでは濃厚接触者に対しての予防効果を検証するための臨床試験を開始しているとのことで、こちらの試験で副作用の報告が上がらないかも心配ですね。
スイスでの臨床試験は第3相試験(臨床試験の最終段階)に入っているとのことで、この結果にも注目していきたいと思います。

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