新型コロナウイルスの流行状況が深刻なアメリカニューヨーク州は、ウイルス検査体制を強化するため薬剤師にもPCR検査の権限を与えることを明らかにしました。州内約5000か所の薬局を活用し、検査数は現在の約2万件/日から4万件/日に倍増させる予定としています。
ニューヨーク州のクオモ知事は先月25日の記者会見で、社会を支えるエッセンシャルワーカー※は市民と接触する機会があり、彼らが感染すれば大規模な集団感染につながるおそれがあるため、今回新たに検査場となる薬局ではエッセンシャルワーカーを優先的に検査したいとの考えを示しました。
一方でクオモ知事は経済活動再開の条件の1つとしてあげている1日あたりの入院患者数について「200~400人まで下がるまで様子をみたい」としていて、経済活動再開について慎重に判断していく姿勢を強調しました。
※エッセンシャルワーカー…生活をする上で必要不可欠な仕事に従事している人
参考: 米NY州 薬剤師にもウイルス検査権限付与へ 新型コロナ(NHK2020/4/26)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200426/k10012406081000.html
参考: クオモNY州知事、薬剤師にもPCR検査を許可(ヨミドクター2020/4/26)
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20200426-OYTEW502296/
日本では歯科医師にPCR検査の検体採取の権限を認めることを先月末に決定しています。検体採取は医師や看護師、臨床検査技師が担ってきましたが、検査に人手をとられ医療体制の維持が難しくなる事態を避けるためです。
今後さらに医療現場がひっ迫してきた場合、このニュースを受けて日本でも「薬剤師にPCR検査を」という動きが出てくるかもしれません。
日本でも検査数が絶対的に足りず、保健所への電話もなかなかつながらないため、エッセンシャルワーカーの方で発熱などの症状が出ても検査をしてもらえないケースがあります。この場合、新型コロナウイルス感染の疑いが消えないため、症状が治まっても長めに仕事を休まなくてはいけないケースが出てきてしまっています。
長めに休んだ場合は業務に支障が生じてしまいますが、早めに復帰すると、もし新型コロナ感染であった場合、多くの人に移してしまう可能性があり判断がとても難しいと言います。
今回のニューヨークでの措置のように、日本でもエッセンシャルワーカーが優先的に検査を受けられる体制を整える必要があると言えそうです。PCR検査関連について、今後の報道にも注目していきたいと思います。
参考: PCR検査、歯科医も検体採取 特例で人手不足対応(日本経済新聞2020/4/26)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58516420W0A420C2NN1000/
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