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抗生物質が効きにくい薬剤耐性菌が世界的に増加。WHOがキャンペーンを実施

抗生物質が効きにくい薬剤耐性菌が世界的に増加。WHOがキャンペーンを実施

WHOは6月、抗生物質の薬剤耐性の増加を抑制し、その使用を安全なものとするための世界的なキャンペーンを開始しました。「AWaRe 」と呼ばれるこのキャンペーンは、抗生物質を3つのグループ、Access(一般的な感染症に使用)・Watch(特定の限られた感染症に使用)・Reserve(多剤耐性菌など生命を脅かす重篤な感染症に使用)に体系化し、優先順位を提示しています。
AWaReキャンペーンサイト https://adoptaware.org/

今年4月には国連から、薬剤耐性菌に対する対策を促す報告書が提出されています。

 

国連は4月29日、薬剤耐性菌が世界的に増加し危機的状況にあるとして、早急な対策を各国に求める報告書を発表しました。

抗生物質を慎重に使用するための制度導入や、薬剤耐性に関する研究に資金を投入することなどを記しています。

報告書によると、2050年までに、薬剤耐性菌の病気による死亡者が年1千万人になると試算されています。現在は毎年、推定70万人以上が死亡しています。モハメド副事務総長は「地球規模で直面している最大の脅威の一つだ」と、緊急性の高い課題であることを訴えました。

参照:
薬剤耐性菌「危機的な状況」 国連、対策促す報告書(2019/04/30日経新聞)
https://r.nikkei.com/article/DGKKZO44360460Q9A430C1CR0000

抗生物質は薬剤師にとって身近な薬であり、毎日のように調剤する薬の一つであると思います。
風邪をひいたときなどによく処方が出る印象がありますが、抗生物質は生死に関わる場面でも使われる重要な薬です。
薬剤耐性菌が蔓延してしまい、生死に関わるような重要な場面で薬が効かないという状況は避けなければなりません。

この状況を踏まえ、2018年から診療報酬に小児抗菌薬適正使用支援加算※が加わり、抗菌薬の処方を必要最小限にする取り組みが始まっています。

薬剤師としてできることは限られてくると思いますが、このような状況を踏まえ、日々の服薬指導にあたっていきたいですね。

※小児抗菌薬適正使用支援加算…小児科専門の医師が急性上気道感染症または急性下痢症で受診した初診患者(保護者)に対し、検査結果などを基に抗菌薬を処方しない理由を説明し、内容を文書で提供した場合に算定できる

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