国立国際医療研究センター病院は、海外旅行中に安易に抗菌薬(抗生物質)を服用すると、耐性菌を国内に持ち込む恐れがあるとして注意を呼びかけています。
東南アジアや南アジアへの旅行者には旅行中の食あたりに対応できるよう事前に抗菌薬を持参する人が多いことが、同病院の調査でわかりました。抗菌薬の入手は、国内では医師の処方箋が必要であるため、海外渡航者は過去の治療でに処方されたり、家族が使ったりした残りを持参していると考えらえます。
抗菌薬は薬によって適応のある細菌が異なるため、合わない抗菌薬を使うと効果がないだけでなく、腸内細菌のバランスが崩れたり、耐性菌を増やしたりすることがあります。また、下痢の原因がマラリアや腸チフスなどであった場合、診断が遅れ、命にかかわる危険もあります。
こまめに手洗いをしたり、生の野菜や果物、屋台での食事は避けたりするなど、しっかり予防をし、食あたりにあった場合も自己判断で抗菌薬を服用せず、現地の医療機関を受診することが必要となります。
参考:海外で抗菌薬「使わないで」…耐性菌増やす恐れ(ヨミドクター2019/8/15)
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190815-OYTET50006/?catname=news-kaisetsu_news
抗菌薬は耐性菌の発生を防ぐためにも途中で辞めたりせず、全て飲みきるのが基本の使い方です。投薬時に薬剤師からも全て飲みきるよう指導していると思いますが、飲み切らずに残しておくケースがまだ多いことが今回の調査で分かりました。
抗菌薬の不適切な使用によるリスクが周知されていないことが原因であると考えられます。 海外旅行中に自己判断で抗菌薬を服用した場合、日本には存在しない耐性菌を持ち込む恐れがあり、さらに危険です。この現状を打開するためにも、投薬時に抗菌薬の適正使用について十分に説明することが重要といえそうです。