加藤勝信厚生労働相は2月22日夜、新型コロナウイルスによる肺炎の治療のため、新型インフルエンザ治療薬の「アビガン」の患者への投与を同日始めたことを明らかにし、効果が確認できれば、幅広い医療機関で使用できる環境を構築したいとの考えを示しました。
アビガンは、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスのような「RNAウイルス」の増殖を抑える効果が期待されており、ほとんどの人が免疫を持たない新型インフルエンザの発生に備えて約200万人分が備蓄されているとのこと。
また、エボラ出血熱の治療薬についても承認を目指し、3月にも臨床試験を始めるとしています。
さらに、政府が検討を続けている新型コロナウイルスへの対応策をまとめた基本的な対処方針を、早ければ25日にも公表する考えも明らかにしました。
参考:
加藤厚労相、新型肺炎に「インフル治療薬アビガン使用を検討」 テレビ番組で表明(毎日新聞 2020年2月22日)
https://mainichi.jp/articles/20200222/k00/00m/010/040000c
新型肺炎患者にインフル治療薬「アビガン」投与 (福井新聞 2020年2月24日)
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1034656
「アビガン」は薬剤師の皆さんでも聞いたことのない人は多いのではないでしょうか?
一般名はファビピラビルといい、平成26年に「新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(ただし、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る)」を効能効果として承認されました。このような限定した条件のみでの承認となったのは、動物実験で催奇形性が確認されたためです。
ファビピラビルはRNAウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を選択的に阻害することによるとのことで、インフルエンザウイルス以外のRNAウイルスに対しても効果を示すため,治療法の確立されていないRNAウイルス感染症の薬剤として期待されていました。
すでに一医療機関で、投与を開始したとのことで、今後の報道にも注目していきたいですね。