安倍晋三首相は27日、新型コロナウイルス感染症の治療薬候補「レムデシビル」(エボラ出血熱治療薬)について「間もなく薬事承認が可能となる」と明らかにしました。
現在進んでいる国際規模の臨床試験の結果が4月末にまとまる見通しで、政府は近く欧米で承認されるとみています。海外で承認されているのを条件に審査手続きを簡略化する特例承認を適用し、5月にも利用できるようにするとのこと。国内で最初の新型コロナウイルス治療薬となる見通しです。
レムデシビルは、細胞を使った実験で、他の薬より低濃度で新型コロナウイルスの増殖を抑えたとの報告がありました。日本の研究機関が参加した臨床試験では投与された患者の7割近くで症状の改善があった一方、4分の1に腎機能低下などの重い副作用が報告されています。
参考: レムデシビル、5月にも承認へ 新型コロナ、初の治療薬(47NEWS 2020/4/27)
https://www.47news.jp/4760880.html
これまで新型コロナウイルス治療薬の候補として
・レムデシビル(エボラ出血熱治療薬)
・ファビピラビル「アビガン」(抗インフルエンザウイルス薬)
・シクレソニド「オルベスコ」(吸入ステロイド)
・ロピナビル/リトナビル配合剤「カレトラ」(抗HIV薬)
・トシリズマブ「アクテムラ」(IL-6を阻害する抗体医薬品)
・ヒドロキシクロロキン「プラケニル」(抗マラリア薬)
・イベルメクチン「ストロメクトール」(駆虫薬)
・ナファモスタット「フサン」(蛋白分解酵素阻害剤)
が上がっていましたが、レムデシビルが初めての新型コロナウイルス治療薬として承認される見通しとなりました。国内に備蓄があり、注目されているアビガンは現在行っている臨床試験が6月末に終了する予定で、その後の承認となる見込みです。
新型コロナウイルスは感染拡大を続けていて、重症者も依然多い状態が続いています。治療薬が正式に承認されることで、医療体制も整えやすくなり、状況も改善されるかもしれません。臨床試験が無事終了し、承認がスムーズに進むことを切に願います。
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