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【薬剤師の転職】元人事担当者に聞く、面接時に気を付けるポイント

【薬剤師の転職】元人事担当者に聞く、面接時に気を付けるポイント
富澤 崇
株式会社ツールポックス代表取締役、城西国際大学薬学部准教授
東京薬科大学卒、千葉大学博士課程修了(薬学博士)。大学病院、クリニック、薬局で勤務。大学では医療コミュニケーションやビジネススキル、薬剤師実務などの授業を担当。大手チェーン薬局にて人事、教育、採用の人材開発部門の統括に従事。現職では、人材開発領域のコンサルティング、研修講師、執筆、キャリアカウンセリングなどを展開。

採用面接は、パスするかどうかという入り口だけの問題ではありません。入社後もお互いを信頼して長く働けるかどうかを判断するためにあります。売り手市場の中では、たとえビジネスマナーが不十分だったり、受け応えが上手でなかったりしても採用されるかもしれません。でも、あなたの評価は低いまま入社することになります。そうならないためにも十分な準備をすることが大切です。今回は、薬剤師の中途採用場面における面接時の注意点について解説していきます。

採用面接とは

採用面接とは、転職を希望する「求職者」と人材を採りたい「求人企業」がお互いの条件に合うかどうかを確かめることを最大の目的とする面談のことです。では、「お互いの条件」とは何か、整理しておきましょう。

求職側

● 給与、賞与
● 勤務日・時間、勤務シフト
● 残業の有無や時間数
● 休日、休暇
● 福利厚生
● 配属店舗
● 通勤時間
● 通勤手段(車通勤の可否)
●雇用形態(正社員、パート、契約社員)
● 職位(管理者か一般職か)
● 職務(在宅医療、物販などの調剤以外の役割や地域活動などがあるか)
● かかりつけ、お薬手帳持参、ジェネリック変更、在宅医療などへの積極性
● 処方内容、診療科、枚数、集中率
● 採用品目数
● 客層
● 薬局の設備(更衣室、ロッカー、休憩室の有無など)
● 薬局の機器(レセコン、電子薬歴、電子お薬手帳、一包化機器、散剤分包機の有無や種類など)
● 薬局の広さ、きれいさ、新しさ
● スタッフ(人数、男女比、年齢構成など)
● 教育研修の充実度
● 経営理念、経営者の考え方、事業戦略

求人側

● 年齢、性別
● 経歴、職務経験
● 保有スキル、資格、認定
● ビジネスマナーやコミュニケーション力
● 志望動機
● 転職理由
● 健康状態
● 自己実現、職務内容の希望
● 求める薬剤師像
● キャリアプラン

求職者の条件の裏返しが求人側の条件にもなりますので、重複する部分はあえて書きませんでしたが、非常に多岐にわたることをお互いに確認しなければならないことはご理解いただけると思います。

この中で特に重要なのは、「経営理念、経営者の考え方、事業戦略」です。求人票に書かれた諸条件や待遇も大事ですが、会社の方針や風土が入社後の不満の原因になることが多いため、面接時に確認する必要があります。また逆に、表にある「志望動機」や「転職理由」「キャリアプラン」といった求人側からの質問に答えられるように準備しておきましょう。

では次に、面接時における具体的な注意点を見ていきます。

面接の注意点

1.ビジネスマナー

求職者は「自分はできている」と思っていても、正しいマナーを知らずに過ごしていることもありますので、ぜひ一度はマナー本を読んでみることをお勧めします。

ジーンズやスニーカーなど服装がカジュアル過ぎたり、面接時間の30分も前に訪ねたり、履歴書に書くメールアドレスが携帯電話のキャリアメールだったり、なんてこともよくありますがどれもNGですので注意してください。自分のために面接の時間を割いてもらったという感謝の気持ちを心がけてください。面接後にお礼のメールを送るのもよいでしょう。

2 .面接前の準備

給与や通勤時間などで転職先を探した場合、「なぜうちの薬局を選んだのですか?」という定番の質問の答えに困らないよう、ホームページやSNSなどのWebメディアで確認すること、可能であれば薬局を訪問し、場所や外観を確認することを心がけてください。

また、こちらから尋ねることも整理しておきましょう。上述した条件で気になること、確かめたいことをリストアップしておきます。なお、人材紹介会社を利用して応募する場合は、不明点などは先にコンサルタントに聞いておくのも一つの手かもしれません。

3.面接時

話の順番としては、自分に何ができるか、入社した場合どんな貢献ができるか、どんなことを実現したいかを述べます。管理薬剤師の求人においては、業界動向や調剤報酬改定を踏まえた調剤技術料獲得における自分なりの考えや実績などを伝えましょう。そのあとに、自分の希望や要望を伝えるといった順番がよいでしょう。そして、事前に準備した確認事項に沿って、質問をしていきます。面接官からの回答はメモを取ります。曖昧な回答に対しては、後日正式な回答をもらうなどの依頼をするのが望ましいです。

4.面接後の流れ

薬剤師の多くは、 面接後の流れを確認することをおろそかにしがちです。面接が何回あるのか、どんな書類のやり取りが発生するのか、面接時の質問事項についていつまでに回答してもらえるのか、入社までの手続きや準備は何か、といったことをきちんと確認しましょう。 特に人材紹介会社を介さず、直接応募をする場合はそれらの確認を徹底してください。

採用面接とは、人と会社のお見合いです。長く良好な関係を作るための最初の一歩です。誠実な態度と十分な準備で面接に臨んでください。

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