10万人あたり2人から3人の乳幼児に発症する筋力の低下を引きおこす難病「脊髄(せきずい)性筋萎縮症」の治療薬「ゾルゲンスマ」が、国内での製造・販売を承認されました。
「ゾルゲンスマ」は、アメリカでの販売価格は2億円を越しており、日本でも国内最高の薬価となる見通しです。
薬価は今年5月に決まる見込みで、国内では年間15人から20人への投与を想定しているとのことです。
参考:
難病治療薬「ゾルゲンスマ」国内で製造販売を承認へ(テレ朝ニュース 2020年2月26日)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000177308.html
「1億円超え新薬」販売承認へ 乳幼児の遺伝子治療(日本経済新聞 2020年2月26日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56057480W0A220C2MM0000/
販売価格が2億円を超すとは驚きですが、「ゾルゲンスマ」を一度投与するだけで、生涯効果が持続するといわれており、(まだ実際投与患者で大人になった方がいないので確実ではないですが)それでも安いくらいとの考えもあるほどだそうです。
生涯効果の持続が期待される理由は驚きの作用機序にあります。
ゾルゲンスマはウイルスを利用した薬で、正常なヒトSMN1遺伝子をウイルスのカプシドで包んだ構造をしています。脊髄性筋萎縮症は遺伝子変異のあるSMN2遺伝子を持っていることで正常なSMNタンパク質が産生されないことに起因しています。ウイルスを利用して正常なヒトSMN1遺伝子を取り込むことで、正常なSMNタンパク質が産生されるようになります。正常なSMN遺伝子は長期間留まるように設計されており、正常なSMNタンパク質を作り続けるため、一度投与すれば効果はずっと続くとみられています。
画期的な作用機序で、多くの患者さんの命を救うと予想される「ゾルゲンスマ」。日本でいくらくらいの値がつくのか注目です。