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コロナ禍のオンライン診療解禁から考える薬剤師の職能発揮3 ~薬剤師の活躍とポストコロナ~

コロナ禍のオンライン診療解禁から考える薬剤師の職能発揮3 ~薬剤師の活躍とポストコロナ~

新型コロナウイルス感染予防対策として始まった、処方箋の「0401対応」。前回の記事<コロナ禍のオンライン診療解禁から考える薬剤師の職能発揮2 ~オンライン服薬指導~>では、オンライン診療後の流れから、オンライン服薬指導の現状についてお伝えしました。

診療はオンラインでも、薬は近所の薬局に直接取りに行くケースも多い現状。そしてその場合、患者と対面で接する唯一の医療従事者は薬剤師です。しかしそれならば、初めから薬剤師に相談し、OTC薬や零売を利用すればよい症状も多いと感じます。0401対応が始まって約1ヶ月、実際に薬剤師に相談する件数が増えています

コロナ不安で受診を避け、薬剤師に相談する人が増加

静岡新聞によると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、調剤薬局やドラッグストアの薬剤師への相談が増えているとのことです。

参考:薬剤師への相談増加 病院診療回避背景か、体調不良「不安で」(2020/05/13 静岡新聞)
https://www.at-s.com/news/article/health/shizuoka/765440.html

慢性疾患のある患者からは「病院でもらっていた薬がなくなった」という相談、風邪症状のある患者からは「市販薬が欲しい」といった相談が多く寄せられているとのこと。背景には、病院での感染リスクを避けるため、受診を控えている動きがあります。

また、せきなどの体調不良で感染を心配し、まず薬剤師に電話でSOSを発する人も増えたそうです。電話やオンラインによる診療が広く解禁されたとはいえ、全ての患者がその制度について知っているわけではありません。薬剤師なら、相談内容に応じてOTC薬の販売や、適切な医療機関への受診案内など、専門知識を活かして幅広く対応できます。

普段からかかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師として患者との関係性があれば、より相談しやすく安心です。新型コロナや自然災害といった非常時には、その威力をより発揮するのではないでしょうか。0401対応や、受診控えといったコロナ対応が、かかりつけ薬剤師の利用が広がるきっかけにもなりそうです。

オンライン化が、薬剤師の専門性発揮に繋がる可能性

新型コロナによるオンライン診療・オンライン服薬指導は時限的なものですが、もし将来的に導入が進めば、別の角度からも「かかりつけ薬剤師」普及に繋がるかもしれません。

コンビニや調剤薬局よりも店舗数が多い、美容院。サービス自体は店に行かなければ受けることができませんが、美容院選びや予約はオンライン化が進んでいます。

例えば、WEB上で「エリア」と「日時」を指定して、予約できる店舗を検索。各店舗のページには、店の様子や料金だけでなく、店長や従業員の写真と名前、メッセージや経験年数といった、どんな人からサービスを受けられるかという情報が充実しています。美容師の指名予約もでき、指名料があることも一般的です。

オンライン服薬指導は場所の制約が減る分、病院からの距離や駅からの近さといった立地の優先度が減ります。そのため、選ばれるためにはどんなコンセプトの薬局か、誰から服薬指導を受けられるのか、といった内容面も重要となってきます。

オンライン服薬指導が普及すれば、薬局選びもオンライン化が進む可能性があります。通える範囲の「エリア」にある薬局から、服薬指導を受けたい「日時」を指定して薬局を選ぶという未来も来るかもしれません。各薬局のページには在籍する薬剤師のプロフィールがあり、希望の薬剤師に服薬指導の予約ができるという仕組みができるとしたら、どうでしょうか。

「自分の病気の専門分野に詳しい薬剤師に相談したい」
「子どもの薬を処方してもらうのに子育て経験のある薬剤師にお願いしたい」

などといった患者の希望に応えることができ、かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師として選んでもらうメリットも強調できます。お気に入りの美容師を指名予約するように、同じ薬剤師に継続的に服薬指導を依頼する、という患者も増えるでしょう。薬剤師にとっても、自分の専門性を高め、認定薬剤師などの資格を直接的に発揮する機会に繋がります。

今年9月には、薬機法の改定によるオンライン服薬指導が全国でスタート予定です。しかしこちらは、過去に対面で服薬指導を実施した薬剤師による、同一または同一に準ずる内容の処方箋に限るなど要件が厳しくなっています。

「かかりつけ薬剤師だからオンライン服薬指導でも安心」ということはもちろんそうですが、「オンライン服薬指導がきっかけで、かかりつけ薬剤師を決めました」という未来があってもよいのではないかと思います。

医療崩壊を防ぐために薬剤師が活躍する未来

感染拡大という非常時には、医療機関の負担が日に日に増してしまいます。”薬剤師が出来ること”が広がれば、限られた人的リソースの中で多くの人の健康を守ることができます。

海外に目を向けると、アメリカでは医療機関と薬局の同意があればプロトコルに基づいて薬剤師が薬を処方できる権利や、一度処方された薬を薬剤師の判断で再処方できる「リフィル処方箋」が認められています。

海外で薬剤師が「信頼される職業」の上位にランクインする理由1(アメリカ編)

病院にかからずはじめから薬剤師に相談し、OTC薬での治療が一般的な国も多いです。イギリスでは、認定された薬剤師が、自身の専門分野の薬を処方できる制度があります。予防接種も薬剤師から受けられるなど、薬剤師が医師の業務負担を軽減する役割を担っています。

海外で薬剤師が「信頼される職業」の上位にランクインする理由2 (イギリス編)

今回、問題なくオンライン診療ができた受診には、制度さえあれば薬剤師が担えたケースも多かったと考えられます。リフィル処方箋のような制度が日本にも導入されていれば、医師は緊急性の高い患者に集中することができたのではないでしょうか。そして患者は、薬剤師によって安全性が保たれながら再処方を受けられます。

さまざまな行動が制約されているコロナ禍ですが、だからこそ出来ることもあります。時限的・特例的に認められたオンライン診療・オンライン服薬指導を実践しつつ、それらの知見を活かして日本の医療制度がよりよく変化していくことを願います。

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