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先輩薬剤師が厳選!2020年新卒薬剤師におススメの本

先輩薬剤師が厳選!2020年新卒薬剤師におススメの本

この春に晴れて薬剤師になった薬剤師1年生のみなさん、おめでとうございます!国家試験受験に合格してからは、春からの煌びやかな社会人生活や、念願の現場で働ける!という期待で心躍っていたことでしょう。しかしながら、その後の新型コロナの感染拡大で、
会社や医療機関は感染予防対策でナーバスな雰囲気。そんな状況の中で働くこととなったとしても、先輩はイレギュラーな対応業務で忙しそう、、、
大学での勉強の知識だけでは現場で通用せず、分からないことだらけなのに気軽に質問できない状況で困っている新人薬剤師が多いのではないでしょうか?そこで、自力で勉強する薬剤師1年生の皆さんにおススメの本をご紹介します。

何から手を付けてよいのかわからない人におススメ!

   

デキる薬剤師をつくる現場の教科書
知らないと困る“163 の常識”を学んで即戦力に!

じほう (2019年10月発行、296頁)

おススメpoint!
・現場で必要なスキルが学べる
・同期に差をつけて即戦力になれる
・先輩薬剤師が新人薬剤師に何を求めているかわかる

この1冊を読んだだけで簡単に「デキる薬剤師」になれる訳ではないですが、この本には「大学ではあまり教わらないけど、現場では常識である」知識や技術に焦点をあてて、先輩薬剤師が説明しています。その内容は、感心される薬歴の書き方、ハイリスク薬、認知症の人との向き合い方、クレーム対応術、管理薬剤師など、現場で求められる知識やスキルを広範囲にわたり簡潔に解説されています。どれをとっても、現場薬剤師にとっては基礎の「キ」の字にあたることが書かれているため、先輩薬剤師からすれば、「これくらいのことは理解しておいてほしいポイント」が押さえられています。大学で学習した項目は復習にもなりますし、現場に出る前にこの1冊に目を通して、薬剤師業務の予習をするといいでしょう。また、薬剤師になったものの、何から勉強したらよいかわからない人は、この本を読み、自分が興味をもった項目や苦手と感じる項目を掘り下げて勉強するのが良いと思います。

ハイリスク薬における患者指導の仕方がわからない人におススメ!

   

ハイリスク薬チェックシート 第3版

じほう第3版 (2016年9月発行、344頁)

おススメpoint!
・副作用モニタリングのポイントがまとめられている
・患者指導に使えるフレーズも収載
・実用性ある簡潔にまとまったチェックシート付き

愛媛大学医学部附属病院薬剤部が監修している本で、ベッドサイドや薬局窓口で利用しやすいように内服薬を中心に掲載されています。代表的製品の添付文書に記載されている内容が簡単な言葉でまとめられたチェックシートが収載されており、患者への服薬開始時に何を指導すべきか一目瞭然!モニタリングすべき検査項目も記載されており、指導のたびに副作用の有無や検査値をメモしておけば、その患者の内服後の経過がたどりやすいです。経験の少ない薬剤師でも、漏れのない薬剤管理指導業務が行えます。

堅苦しい本が苦手な人におススメ!

   

循環器治療
この薬をつかう本当の理由

文光堂 (2011年12月発行、97頁)

おススメpoint!
・肩の力を抜いて薬の物語を読める
・医師の経験談が読める
・持ち歩きやすく通勤時にも読める

月刊誌「メディカル朝日」(朝日新聞社)に連載された内科医の村川裕二先生のコラムが書籍になったものです。1冊に1年分(12の薬剤)のコラムが載っており、Ⅰ~Ⅲ巻まであります。ページ数からすると割高な気もしますが、この薄さがまた読みやすい!実際、早い人は1時間もかからないで読めてしまうかもしれません。活字が詰まっている分厚い本で気が遠のいてしまう人には、先生が物語を話しているかのような文章で書かれたこの本がおすすめです。医療現場で実際に薬を使用してみた感想や体験で知ったこと、ご自身で調べたこと、薬の開発の裏話が書いてあり、また、薬を身近なものや人に例えた挿絵も面白い。薬を医師側からみた意見に触れられるので新鮮な気持ちで読めます。本を読んでいると眠くなって、勉強がはかどらない、寝る前に気軽に読みたい人にもおススメです。

このシリーズは外せない!病態を勉強したい人におススメ

   

病気がみえる

メディックメディア 第4版 (2017年3月発行、410頁)

おススメpoint!
・画像・イラストが豊富、カラフルで見ているだけで楽しい
・専門用語の掲載数が充実
・治療薬の使用意義が分かりやすく説明されている

学生の時から使用している人も多いのではないでしょうか。この「病気が見える」シリーズは、現在2020年4月時点でvol.1消化器~vol.12眼科まで発売されています。このシリーズ以外にも疾患をビジュアル化して説明している本はありますが、その中でもこの「病気が見える」シリーズは治療薬にも触れているので、薬剤師におススメです。アルファベットの略語やその領域における臨床で必要な専門用語の説明がほぼ網羅されていているところも素晴らしいです。現場ではカルテを英語で書く医師も少なくなく、私が新人の時はこの本を辞書代わりにし、いつも助けられていました。服薬指導も、患者の病態の特徴を知った上で指導した方が指導内容の質も向上します。自宅での勉強用だけではなく、病棟や薬局にも1冊は欲しい本です。

医療スタッフの会話についていけない人におススメ!

   

早わかり
看護聞き言葉辞典


照林社 (2009年11月発行、315頁)

おススメpoint!
・10×14㎝で白衣のポケットに入るコンパクトサイズ
・「聞いたまま」の言葉をすぐ引ける
・読めない漢字も画数から索引できる

私が新人薬剤師だった時に、病棟の看護師が「アレスト!」と声を上げ慌ただしく動いていましたが、当時の私はアレストが「心停止」のことだとはつゆ知らず、あとで「自分も医療人なら蘇生処置に加わるべきだった、、、」と反省したことがありました。これがきっかけで購入した本です。看護師向けの本ですが、病院・クリニック、在宅医療におけるカンファレンスや薬薬連携等で他のスタッフと会話する機会があれば薬剤師1年生は必携です。薬剤師は酸化マグネシウムのことを「カマ」と言いますが、看護師は「マグ」と言います。また、検査の名前や処置名は必ずと言っていいくらいに聞いたことのない略語やカタカナ語で会話に出てきます。「聞いたまま」の言葉を引けるように日本語読み、英語読み、アルファベット読み、慣用読みするもの全てを50音順に並べてあるので、ポケットに忍ばせておいて、こっそり調べて会話についていきましょう!

今回は視覚的に読みやすく、勉強にとりくむきっかけとなってくれる5冊を紹介しました。薬剤師1年生は、はじめはわからないことだらけの毎日ですが、その都度調べてラインをひいたり、新しい知識を書き込んでみてください。数年後に見返してみると、「当時はこんなこともわからなかったのか」「こんなに症例をみてきたんだな」と自分に誇りを持てると同時に、後輩の不安な気持ちが理解でき、きっと素敵な先輩薬剤師になれます!「毎日の弛まぬ努力」それが患者さんのためにもなります。自分を信じて日々頑張ってください!

 

画像:Amazon.co.jpアソシエイト

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